人に期待して、思い通りにならずに落ち込んだ経験はありませんか。
「これだけ頑張ったのだから、認めてもらえるはず」
「自分が大切にしているのだから、相手も同じ気持ちのはず」
期待していた反応が返ってこないと、がっかりしたり、相手に不満を感じたりすることがあります。
以前、婚活で真剣交際まで進んだ女性がいました。結婚後の生活まで想像していましたが、交際は終わってしまいました。
この経験を振り返ると、実際に起きたこと以上に、自分の中で思い描いていた未来との違いに苦しんでいたように思います。
この記事では、人に期待するほど苦しくなる心理と、期待との向き合い方について考えます。
期待が大きくなるほど苦しくなる理由
何人もの女性とお見合いを重ね、ようやくたどり着いた真剣交際でした。
相手から「婿に来てほしい」と言われたときも、迷わず承諾しました。
住む場所や生活スタイルが変わっても、好きな人と結婚できるなら構わない。当時はそんな気持ちでした。
今振り返ると、結婚できるという期待が大きくなり、自分がどんな生活を送りたいのか十分に考えていませんでした。
交際が終わったときには、相手との関係だけでなく、思い描いていた未来まで失ったように感じました。
人は期待した未来にも価値を感じる
心理学には「期待不一致」という考え方があります。
予想していた結果と実際の結果にズレが生じると、失望や不満につながることがあります。
例えば、職場で一生懸命働いているとします。
「これだけ頑張っているのだから、上司も評価してくれるはず」
そう期待していたのに、何も言われなかったらどうでしょうか。
同じ結果でも、最初から評価を期待していなければ、それほど落ち込まなかったかもしれません。
人は実際に起きた出来事だけでなく、自分が予想していたこととの違いによっても感情が左右されます。
結婚後の生活を思い描いていた頃も、まだ決まっていない未来を、すでに手に入れたもののように感じていました。
期待が外れたとき、想像していた未来まで失ったように感じることが、苦しさを大きくするのだと思います。
期待に振り回されないための3つの考え方
期待をなくそうとしても、簡単にはできません。
家族や恋人、職場の人など、身近な相手ほど期待が大きくなることもあります。
期待を抱いたときに、次の3つを考えてみてください。
① 期待と事実を分けて考える
期待が大きくなったときには、実際に起きたことと、自分が期待していることを分けて考えてみます。
例えば、職場で上司から仕事を褒められたとします。
「仕事を褒められた」のは事実ですが、「これから昇進できるはず」は期待です。
恋愛でも、相手から好意的な言葉をかけられたからといって、将来まで約束されたわけではありません。
まだ決まっていない未来を確実なものと思い込まないことで、期待が外れたときの落差を小さくできる場合があります。
② 相手に合わせる前に自分の希望を考える
相手との関係に期待するあまり、自分の希望を後回しにしてしまうことがあります。
心理学の「自己決定理論」では、人には自分の意思で行動を選びたいという「自律性」の欲求があると考えられています。
私自身、婚活で真剣交際に進んだとき、結婚できるという期待から、相手の希望を優先していました。
当時はそれで納得しているつもりでしたが、今振り返ると、自分がどんな生活を送りたいのか十分に考えていませんでした。
相手に合わせることが悪いわけではありません。
自分の希望を理解したうえで、納得して選んでいるかどうかが重要です。
相手との関係に期待が大きくなったときこそ、自分が本当に望んでいることを確認する。
相手に合わせるのではなく、お互いが納得できる選択をすることが、無理のない関係につながると思います。
③ 相手の反応までコントロールしようとしない
人に期待するとき、無意識のうちに相手の反応まで求めてしまうことがあります。
親切にしたのだから、感謝してほしい。
一生懸命働いたのだから、評価してほしい。
自分が好きなのだから、相手にも好きになってほしい。
そう願うことは自然です。
心理学には「アクセプタンス(受容)」という考え方があります。
自分の思い通りにならない状況や、不快な感情を無理に変えようとせず、受け止める姿勢です。
相手から期待した反応が返ってこなかったときには、まず自分の中に生まれた感情を否定せずに受け止める。
そのうえで、相手に自分の気持ちを伝えたり、少し距離を置いたりと、自分にできる行動に目を向けることができます。
期待する気持ちと上手に付き合う
以前は、好きな人と結婚できるなら、相手に合わせることが一番だと思っていました。
今は、自分の希望を大切にしながら、お互いが納得できる関係を築きたいと考えています。
期待した未来が必ず実現するとは限らないことを理解し、自分で選べる行動に目を向ける。
相手の気持ちを尊重するのと同じように、自分の気持ちも尊重していきたいと思います。
参考文献
① 期待不一致
Oliver, R. L.(1980)
A Cognitive Model of the Antecedents and Consequences of Satisfaction Decisions.
Journal of Marketing Research, 17(4), 460–469.
② 自己決定理論
Ryan, R. M., & Deci, E. L.(2000)
Self-Determination Theory and the Facilitation of Intrinsic Motivation, Social Development, and Well-Being.
American Psychologist, 55(1), 68–78.
③ アクセプタンス(受容)
Hayes, S. C., Strosahl, K. D., & Wilson, K. G.(1999)
Acceptance and Commitment Therapy: An Experiential Approach to Behavior Change.
Guilford Press.


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