以前は、できるだけ人とは仲良くした方がいいと思っていました。
職場でも友人関係でも、嫌われたくないという気持ちがあり、自分の考えよりも相手の気持ちを優先してしまうことがよくありました。
本当は気が進まなくても、断ったらどう思われるだろうと考えてしまう。
年齢を重ねるにつれて、無理に誰とでも仲良くする必要はないと考えるようになりました。
そんな人間関係について考えていたとき、心理学の「自己分化」という考え方を知りました。
この記事では、私自身の経験を交えながら、人から嫌われることを恐れず、自分の意思で人間関係を選ぶことについて考えてみます。
ご近所とは「挨拶するくらい」が私にはちょうどいい
ご近所付き合いは、ほとんどしていません。
会えば挨拶はしますが、積極的に家を行き来したり、一緒に食事をしたりするような関係ではありません。
以前、ご近所の方から「今度一緒に飲みましょう」と誘われたことがありますが、お断りしました。
相手が嫌いだったわけではありません。近所だからこそ、ある程度の距離を保っていたいという気持ちがあったからです。
近所に住んでいる以上、これから何年も顔を合わせる可能性があります。
親しくなりすぎると、頼まれごとを断りにくくなったり、言いたいことが言えなくなったりすることもあります。
もともと相手に合わせすぎてしまうところがあるので、今は無理に付き合いを広げないようにしています。
人との関係を保ちながら自分を失わない「自己分化」
心理学には、「自己分化(Differentiation of Self)」という考え方があります。
家族療法の研究者マレー・ボーエンが提唱した概念です。
簡単にいうと、周囲の感情や考え方に影響されすぎず、人とのつながりを保ちながら自分の意思を持つことです。
例えば、誰かから食事に誘われたとします。本当は行きたくないのに、「断ったら嫌われるかもしれない」と考えて参加する。
こうした行動を繰り返していると、自分がどうしたいのかよりも、相手がどう思うのかを優先するようになります。
自己分化の考え方では、相手との関係を大切にしながら、自分の考えも尊重します。
誘ってくれたことには感謝する。気が進まなければ断る。
相手に合わせるかどうかを、自分で判断するのです。
断ることで相手が残念に思ったり、関係が変わったりすることもあるでしょう。
相手の感情をすべて自分が引き受ける必要はありません。
自分がどう行動するかは選べても、相手がどう感じるかまでは決められないからです。
人との関係を大切にすることと、自分の気持ちを我慢することは別なのだと思います。
嫌われないことより、自分の意思で選ぶこと
人から嫌われるのは、誰でも気持ちのいいものではありません。
今でも相手の反応が気になることはありますし、強く言われると自分の考えをうまく伝えられないこともあります。
今は、誰とでも仲良くすることより、自分がどんな人間関係を築きたいのかを考えるようになりました。
自分を大切にしてくれる人とは、良い関係を続けていきたい。自分ばかりが我慢している関係なら、少し距離を置くことも考えたい。
仕事など、簡単には離れられない関係もありますが、必要以上に親しくする必要はありません。
相手を尊重することと、相手の期待にすべて応えることは違います。
人に嫌われることへの不安がなくなったわけではありません。これからも人への思いやりは忘れずに、自分が納得できる付き合い方を選んでいきたいと思います。
参考文献・参考サイト
- Bowen, M.(1978). Family Therapy in Clinical Practice. Jason Aronson.
- The Bowen Center for the Study of the Family「Differentiation of Self(自己分化)」


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