「いつか自分で訪問看護ステーションをやってみたい」
以前から、そんな気持ちはどこかにありました。
そして最近になって、それが少しずつ「いつか」ではなく、「本当にやってみたい」という気持ちに変わってきました。
ただ、実際に開業について調べ始めてみると、最初に感じたのは希望よりも、
「分からないことが多すぎる」
ということでした。
僕は現在、訪問看護師として働いています。
訪問看護の仕事自体は2年以上経験しています。
担当している利用者さんの自宅を訪問して、状態を確認する。
話を聞いて、必要な看護を行い、記録を書く。
必要があれば相談支援専門員さんや病院、クリニックなどと連絡を取る。
利用者さんとの関係性を作っていくことも、訪問看護師として大切な仕事です。
こうした現場の仕事については、少しずつ経験を積んできました。
でも、
「訪問看護ステーションを経営する」
となると、まったく別の話でした。
僕は保険請求の仕組みを一から作った経験があるわけではありません。
訪問看護ステーションの指定申請をしたこともありません。
会社を設立したこともありません。
事務所を契約したこともなければ、開業資金を準備した経験もありません。
つまり、
訪問看護師として働いた経験はあっても、訪問看護ステーションを作る経験はゼロです。
ここが、実際に開業について調べ始めて一番最初に気づいたことでした。
「株式会社って、そもそもどうやって作るんだろう?」
僕の場合、本当にここからのスタートです。
会社名を決めれば株式会社になるわけではありません。
定款とは何なのか。
会社の実印はどうするのか。
登記はどこでするのか。
法人名義の銀行口座はいつ作るのか。
資本金はいくら必要なのか。
税理士さんはいつから必要なのか。
社労士さんには何をお願いするのか。
調べ始めると、一つ疑問が解決するたびに、また新しい疑問が出てきます。
そして会社を作れば、それだけで訪問看護ステーションを始められるわけでもありません。
訪問看護ステーションとして事業を行うためには、法人格だけではなく、人員、設備、運営などの基準を満たし、必要な指定や届出を進めていく必要があります。
看護職員についても、指定訪問看護ステーションでは原則として常勤換算2.5人以上などの基準があります。
「自分が看護師だから一人で始めればいい」
という単純な話ではありません。
だから僕は今、
分からないことを、一つずつノートに書き出しています。
これが現在の僕の開業準備です。
例えば、
株式会社を設立するには何が必要なのか。
訪問看護ステーションの人員基準をどう満たすのか。
社労士さんをどう探すのか。
税理士さんはどのくらい費用がかかるのか。
医療・介護分野に詳しい人なのか。
引っ越した後の地域には、どんな社労士事務所や税理士事務所があるのか。
事務所はどこにするのか。
訪問看護ステーションの名前はどうするのか。
パンフレットには何を書くのか。
開業したら、どこへ挨拶に行くのか。
病院なのか。
クリニックなのか。
相談支援事業所なのか。
地域のどこに、自分たちの訪問看護を必要としている人がいるのか。
思いついたことを、とにかく書き出しています。
そして、分かったことから一つずつノートにまとめています。
僕は最初、
「こんなに何も知らない状態で、本当に開業できるのかな」
と思いました。
今でも不安がないわけではありません。
むしろ調べれば調べるほど、
「こんなことも必要なのか」
と思うことがあります。
でも最近は、少し考え方が変わってきました。
分からないことが不安なのではなく、分からないままになっていることが不安なのかもしれない。
そう思うようになりました。
訪問看護ステーションの開業について調べ始めると、会社設立だけでなく、人員基準や指定申請、開業資金、税理士・社労士、そして開業後の利用者さんを増やすための営業まで、考えなければならないことがたくさんあります。
僕自身もまだ準備段階ですが、調べたことを一つずつ記事にまとめています。
訪問看護ステーションの開業を考えている方は、以下の記事も参考になると思います。
▶︎ 訪問看護ステーション開設には何人必要?人員基準「常勤換算2.5人」をわかりやすく解説
例えば、
「開業資金が不安」
と漠然と考えているだけでは、ずっと不安です。
でも、
事務所はいくら。
車はいくら。
人件費はいくら。
税理士さんはいくら。
社労士さんはいくら。
システムはいくら。
会社設立にはいくら。
というように、一つずつ数字にしていけば、
「自分はいくら準備すればいいのか」
が少しずつ見えてきます。
人員についても同じです。
「看護師を集められるかな」
と考えているだけでは不安です。
だったら、
誰に声をかけられるのか。
常勤は何人必要なのか。
非常勤を組み合わせることはできるのか。
いつ頃から声をかければいいのか。
そこまで具体的にしていく。
すると「不安」だったものが、
「やるべきこと」
に変わっていきます。
これは僕にとってかなり大きな変化でした。
開業について何も知らないこと自体は、今の段階では仕方がないと思っています。
最初から会社設立の方法を知っている看護師ばかりではないでしょうし、最初から保険請求や指定申請について詳しい人ばかりでもないと思います。
僕も現場の看護師として働いてきただけなので、知らないことだらけです。
だから調べる。
分からなければ専門家に聞く。
また分からないことが出てきたら、それをノートに書く。
そして一つずつ潰していく。
今は、その繰り返しです。
もちろん、調べている途中で、
「こんなに大変なら、今のまま雇われて働いていた方が楽なんじゃないか」
と思うこともあります。
実際、雇われている現在は、決められた仕組みの中で仕事ができます。
給与も毎月振り込まれます。
利用者さんのところへ訪問して、看護師として自分の仕事をすることに集中できます。
経営者になれば、そうはいきません。
利用者さんがいなければ売上はありません。
スタッフの給与も考えなければいけません。
採用、営業、請求、行政への手続き、事務所の維持など、今まで自分が意識していなかった仕事も出てきます。
それでも、
自分がやりたいのであれば、やるしかない。
今はそう思っています。
「分からないからやらない」
では、何も始まりません。
分からないのであれば調べればいい。
自分で判断できないところは、税理士さんや社労士さんなど、その分野に詳しい人に相談すればいい。
一人ですべてできるようになる必要はないと思っています。
僕がやるべきなのは、
自分が分かっていないことを把握して、必要な人の力を借りながら前に進むこと。
それなのだと思います。
そして、もう一つ大切にしているのが計画です。
訪問看護ステーションを作りたい。
それだけでは、まだ夢の状態です。
でも、
会社を作る。
人を集める。
事務所を決める。
必要な指定や届出を確認する。
税理士さんを探す。
社労士さんを探す。
ステーション名を決める。
パンフレットを作る。
営業先をリストアップする。
病院やクリニック、相談支援事業所などへの挨拶を考える。
一つひとつ予定に落とし込んでいけば、
「訪問看護ステーションを作りたい」
という漠然とした夢が、少しずつ具体的な計画になっていきます。
今の僕は、まだスタート地点です。
訪問看護ステーションを開業したわけでもありません。
会社もこれからです。
人員もこれから。
事務所もこれから。
利用者さんも0人からのスタートになると思います。
だからこの記事は、
「訪問看護ステーションの開業に成功した人が教える方法」
ではありません。
46歳の一人の訪問看護師が、本当に何も分からないところから開業を目指している途中の記録です。
これからうまくいくこともあれば、思った通りにいかないこともあると思います。
予定よりお金がかかるかもしれません。
人が集まらないかもしれません。
制度を勘違いしていて、計画を変更することもあるかもしれません。
それも含めて、このブログに残していこうと思っています。
なぜなら、いつか同じように、
「訪問看護ステーションを作ってみたい。でも何から始めればいいのか分からない」
と思っている看護師さんが、このブログを読んでくれるかもしれないからです。
そのときに、
「この人も最初は何も分からなかったんだ」
と思ってもらえたら、それだけでも意味があると思っています。
僕自身、まだ答えを持っているわけではありません。
今やっているのは、
分からないことを書き出す。
調べる。
ノートにまとめる。
専門家に聞く。
計画を立てる。
そして、一つ終わったら次へ進む。
ただそれだけです。
でも最近思います。
大きなことを始めるときほど、最初から全部分かっている必要はないのかもしれません。
分からないことを一つずつ明確にしていけばいい。
漠然とした不安を、具体的な課題に変えていけばいい。
そして今日できることを一つ進める。
僕の訪問看護ステーション開業は、まだ始まったばかりです。
これから会社設立、人員確保、事務所探し、資金、指定申請、営業、保険請求など、調べなければならないことはたくさんあります。
でも、一つずつ進めていこうと思っています。
いつか自分の訪問看護ステーションを開設したとき、
この最初のノートを見返して、
「あの頃は本当に何も分からなかったな」
と笑える日が来ればいい。
今は、そんなことを考えながら準備を進めています。


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