精神科訪問看護ステーションを開業するとしたら、1日に何件くらい訪問すれば経営が成り立つのか。
最近、開業について調べている僕が気になっていることの一つです。
以前の記事では、
「利用者さんが何人いれば訪問看護ステーションは黒字になるのか?」
という視点から損益分岐点を考えてみました。
しかし実際に経営するとなれば、利用者さんの人数だけではなく、
「看護師1人が1日に何件訪問できるのか」
という数字もかなり重要だと思っています。
僕自身、現在も精神科訪問看護師として働いています。
今回は実際の現場で働いている経験も踏まえながら、開業した場合に1日何件くらい訪問すれば経営が成り立ちそうなのかを考えてみます。
1日に何件訪問すればいいのかを考えるだけでなく、ステーション全体で「利用者さんが何人いれば黒字になるのか」を知っておくことも大切です。
利用者10人・20人・30人の場合の売上と損益分岐点については、こちらの記事で計算しています。
▶︎ 訪問看護ステーションは利用者何人で黒字になる?損益分岐点を計算してみた
※精神科訪問看護の実際の収入は、訪問時間、訪問回数、職種、管理療養費、各種加算などによって変わります。この記事では開業前の僕自身が収支をイメージするため、かなり単純化して計算しています。
1件訪問するといくらの売上になる?
精神科訪問看護は、「1回訪問すれば必ず○円」という単純な仕組みではありません。
精神科訪問看護基本療養費だけでなく、管理療養費や各種加算なども関係するためです。
僕が現在働いている感覚では、1件訪問することでステーションには1万円以上の収入につながるケースもあります。
そこで今回は分かりやすく、
「1訪問あたり平均1万円の売上」
と仮定して計算してみます。
1日3件・4件・5件・6件で売上はどう変わる?
例えば月20日勤務するとします。
1訪問1万円として単純計算すると、次のようになります。
こうして見ると、1日の訪問件数が1件違うだけでも、1か月では20万円の差になります。
3件と6件なら月60万円もの差です。
訪問看護ステーションの経営では、「1日何件訪問できるか」が大きな意味を持つことが分かります。
では1日何件なら黒字になる?
ここが一番難しいところです。
ステーション全体の黒字・赤字は、看護師1人の訪問件数だけでは決まりません。
人件費、社会保険料、事務所家賃、車両費、ガソリン代、駐車場代、通信費、電子カルテ、保険、税理士・社労士など、さまざまな経費がかかるからです。
それでも僕が開業するとしたら、
「看護師1人あたり1日4〜5件程度を安定して訪問できる状態」
を最初の一つの目安にしたいと思っています。
今回の仮定なら、1日4件で月80万円、5件なら月100万円の売上です。
もちろん、ここから人件費やその他の経費を支払うため、そのまま利益になるわけではありません。
重要なのは、スタッフが勤務しているのに訪問がほとんど入っていない状態をできるだけ減らすことだと思います。
だからといって1日7件、8件を目指せばいいわけではない
数字だけを見ると、
「それなら1日7件、8件訪問すればもっと儲かる」
と思うかもしれません。
でも、僕はそう単純ではないと思っています。
実際の訪問看護には、移動があります。
記録もあります。
主治医や相談支援事業所などとの連携、電話対応、報告書などの業務もあります。
さらに利用者さんの状態によっては、予定通りに訪問が進まないこともあります。
特に精神科訪問看護では、ただ家に行って決められた時間だけ話して帰ればいいわけではありません。
その日の精神状態を確認して、話を聞き、必要な支援につなげる。
それが本来の仕事です。
訪問件数を増やすことばかり考えてしまえば、スタッフが疲弊してしまう可能性もあります。
移動時間はかなり重要だと思う
僕自身、現在訪問看護師として働いていて感じるのが、移動時間の大きさです。
同じ1日5件でも、
近い地域に利用者さんが集中している5件と、広い範囲を移動する5件では負担がまったく違います。
例えば1件あたりの移動が10〜15分程度なら、比較的効率よく訪問できます。
しかし毎回30分以上移動するようになれば、それだけでかなりの時間を使います。
だから僕が開業するなら、
「利用者さんを何人増やすか」
だけではなく、
「どのエリアの利用者さんを増やすか」
もかなり重要だと考えています。
できるだけ訪問エリアを絞り、近い地域で利用者さんを増やす。
これが結果的にスタッフの負担を減らし、経営にもつながるのではないかと思っています。
管理者が訪問しすぎる問題もある
もう一つ、開業する立場として気になっているのが管理者の訪問件数です。
開業したばかりでスタッフが少なければ、僕自身も当然訪問に出ることになると思います。
しかし、自分が朝から夕方まで1日6件、7件と訪問していたら、管理者としての仕事をする時間がなくなります。
スタッフ管理、営業、請求、関係機関との連携、経営状況の確認など、管理者には訪問以外の仕事もあります。
だからこそ僕自身については、
「何件訪問できるか」
ではなく、
「管理業務をしながら何件なら無理なく訪問できるか」
を考える必要があると思っています。
開業直後は売上を作るために自分も現場に出る。
でも利用者さんが増えてきたら、少しずつスタッフへ訪問を任せ、自分は管理や経営に使う時間を増やす。
そんな形が理想なのかなと、今のところ考えています。
僕ならまず1日4〜5件を目標にする
今回、単純な収支を計算してみると、
1日3件なら月60万円。
4件なら80万円。
5件なら100万円。
6件なら120万円。
1訪問1万円という仮定では、このような数字になりました。
僕が精神科訪問看護ステーションを開業するなら、まずは看護師1人あたり1日4〜5件程度を安定して訪問できる状態を目標にしたいと思います。
ただし、これは「5件絶対に回らなければいけない」というノルマではありません。
利用者さんに必要な看護を提供すること。
スタッフが無理なく働けること。
そして会社として経営が続けられること。
この3つのバランスを取ることが大切だと思っています。
僕はまだ訪問看護ステーションを開業していません。
だからこそ今のうちから、
「利用者さんは何人必要なのか」
「1日何件訪問する必要があるのか」
「スタッフを何人雇えるのか」
「自分は何件訪問するのか」
こうした数字を一つずつ考えています。
開業してから「思っていたより売上が上がらない」と気づくのではなく、開業前から現実的な数字を知っておく。
それも訪問看護ステーションを長く続けるための大切な準備なのではないかと思っています。


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