40代になると、こんな不安を感じることはありませんか?
・ 夜勤が体力的につらくなってきた
・ 退職したいけれど収入が途絶えるのが不安
・ 転職したいが、生活費のことを考えると一歩踏み出せない
そんなときに支えとなるのが、失業保険(雇用保険の基本手当)です。
しかし、失業保険は「退職すれば誰でも同じようにもらえる制度」ではありません。
・ 自己都合退職と会社都合退職では受給条件が異なる
・ 給付が始まるまでの期間が大きく違う
・ 受給できる日数や総額にも差が出る
こうした制度を知らずに退職すると、数十万円単位で受け取れる金額が変わることもあります。
この記事では、40代看護師が知っておきたい失業保険の仕組みや受給額の目安、自己都合退職と会社都合退職の違い、退職前に準備しておきたいポイントまで分かりやすく解説します。
退職を考えている方は、まずこちらの記事も参考にしてください。
▶︎ 40代看護師が辞める前に考えるべき3つ|転職ストレス・有休ゼロ・夜勤制限の現実
失業保険とは?
失業保険とは、正式には**「雇用保険の基本手当」**のことです。
会社員や看護師として雇用保険に加入している人が退職し、再就職を目指している間の生活を支えるために支給される制度です。単なる生活費の補填ではなく、安心して次の仕事を探すための「生活保障」として設けられています。
基本手当を受給するためには、次の条件を満たす必要があります。
・ 離職前2年間に雇用保険の加入期間(被保険者期間)が通算12か月以上あること
・ 倒産や解雇など会社都合退職の場合は、原則として離職前1年間に通算6か月以上の加入
期間があること
・ 働く意思と能力があり、積極的に求職活動を行っていること
・ ハローワークで求職の申し込みを行うこと
看護師も雇用保険に加入していれば、病院やクリニック、訪問看護ステーションなど勤務先を問わず、条件を満たせば基本手当を受給できます。
失業保険は、再就職までの生活を支える制度です。詳しくは厚生労働省の雇用保険制度をご確認ください。
いくらもらえるの?
失業保険(基本手当)の支給額は、離職前6か月間の給与をもとに計算されます。
基本的な計算式は、次のとおりです。
賃金日額 × 給付率(約50~80%)= 基本手当日額
※給付率は、年齢や賃金額によって異なります。賃金が高いほど給付率は低くなる仕組みです。詳しくは 厚生労働省「基本手当について」をご確認ください。
40代看護師(月収35万円)の場合(目安)
・ 月収:約35万円
・ 賃金日額:約11,600円
・ 給付率:約60%と仮定
この場合、
11,600円 × 60% ≒ 約7,000円
となり、1日あたり約7,000円の基本手当を受給できる可能性があります。
30日分で換算すると、約21万円が目安となります。
※なお、自己都合退職か会社都合退職かによって、給付開始時期や受給日数は異なりますが、基本手当日額は年齢や離職前6か月の賃金などをもとに算定されます。
ハローワークインターネットサービス「雇用保険手続きのご案内」
また、毎年変わる上限額・下限額については、
- 厚生労働省「令和7年8月1日からの基本手当日額等の適用について」
最大の違い|自己都合退職と会社都合退職
失業保険で最も重要なのは、退職理由です。
同じ看護師でも、自己都合退職か会社都合退職かによって、受給開始時期や支給日数が大きく変わります。
① 自己都合退職
主な理由
・ 夜勤がきつい
・ 転職・キャリアアップ
・ 人間関係
・ 家庭の事情 など
多くの看護師が該当するケースです。
自己都合退職の特徴
・ 7日間の待機期間
・ 給付制限(原則1か月)
・ 会社都合退職より支給日数が短い
例えば、3月末に退職し、4月上旬にハローワークで手続きをした場合、自己都合退職では7日間の待機期間と給付制限を経て、最初の基本手当が振り込まれるのは退職からおおむね2か月前後が目安です。実際の時期は、手続き日や失業認定日によって前後します。
また、勤続10年以上20年未満の場合、支給日数の目安は約120日です。
基本手当日額が7,000円なら、受給総額は約84万円となります。
② 会社都合退職
主な理由
・ 病院の倒産
・ 人員整理による解雇
・ 契約更新なし
・ 事業縮小 など
会社都合退職は、労働者に責任のない理由で離職した場合が対象です。
会社都合退職の特徴
・ 7日間の待機後に支給開始
・ 給付制限なし
・ 自己都合退職より支給日数が長い
例えば、勤続10年以上20年未満の場合、支給日数の目安は最大240日です。
基本手当日額が7,000円なら、受給総額は約168万円となり、自己都合退職より受給額が大きくなる可能性があります。
💡 特定理由離職者に該当するケースもあります
自己都合退職と会社都合退職の間には、「特定理由離職者」という区分があります。
例えば、次のようなケースです。
- 医師の診断書がある体調不良
- 家族の介護
- 職場のハラスメントが認められた場合
この場合は、通常の自己都合退職よりも給付制限が短縮される可能性があります。
「自己都合だから仕方ない」と決めつけず、退職前にハローワークへ相談し、診断書や記録などを準備しておきましょう。
退職理由によって受給条件は変わりますが、退職後には離職票や社会保険など、さまざまな手続きも必要になります。
▶︎ 看護師の退職の流れ完全ガイド。退職願〜最終出勤〜離職票〜保険まで全部わかる
40代看護師が注意すべきポイント
退職後に「こんなはずではなかった」と後悔しないためにも、次の3つのポイントを確認しておきましょう。
① 退職理由の伝え方で扱いが変わることがある
同じ退職でも、伝え方や退職理由によっては、ハローワークでの判断が変わる場合があります。
例えば、
・「夜勤がきついので辞めます」
・「医師から夜勤を制限するよう指示を受けています」
では、受給条件の扱いが異なる可能性があります。
体調不良が理由で退職する場合は、診断書などの証明書類を準備しておくことも大切です。
② 離職票の退職理由を必ず確認する
離職票には、会社が退職理由を記載します。
その内容は、失業保険の受給条件や給付開始時期を判断する重要な資料になります。
もし事実と異なる内容が記載されている場合は、ハローワークへ申し出て異議を申し立てることができます。
③ 自己都合退職では生活費の準備をしておく
自己都合退職の場合は、給付制限があるため、基本手当を受け取るまでに2〜3か月程度かかることがあります。
その間の生活費を準備しておかないと、焦って転職先を決めてしまう原因にもなります。
退職前に、少なくとも2〜3か月分の生活費を確保しておくと安心です。
退職後は、基本手当を受給するまでに一定の期間がかかります。あらかじめ流れを把握しておくことで、生活費の準備や転職活動の計画も立てやすくなります。
受給までの流れは、次のとおりです。
📌 失業保険を受給するまでの流れ
- 退職
- 離職票を受け取る
- ハローワークで求職申込み
- 7日間の待機期間
- 自己都合退職の場合は給付制限
- 基本手当の受給開始
※失業保険は、自動的に支給されるものではありません。退職後にハローワークで手続きを行う必要があります。
失業保険と傷病手当金の違い
失業保険と混同しやすい制度に、傷病手当金があります。
どちらも退職や休職時の生活を支える制度ですが、対象となる状態や申請先が異なります。
特に大切なのは、働ける状態なら失業保険、働けない状態なら傷病手当金という違いです。

傷病手当金について詳しく知りたい方は、こちらの記事で詳しく解説しています。
▶︎ 40代看護師が知っておくべき傷病手当金の仕組み―休職したら給料はどうなる?ボーナス・有給・保険は?
失業保険は「再スタートの時間」をつくる制度
失業保険は、単に生活費を補うための制度ではありません。
40代看護師にとって本当の価値は、焦って次の職場を決めるのではなく、自分に合った働き方を考える時間を確保できることです。
例えば、
・ 夜勤のない職場へ転職する
・ 訪問看護やクリニックなど新しい働き方を検討する
・ 資格取得やスキルアップに取り組む
・ 心身の疲れを回復させる
このように、目的を持って活用することで、失業保険は「生活費」ではなく、将来への投資になります。
大切なのは、「いくらもらえるか」だけではなく、「その時間をどう使うか」を考えることです。
制度を正しく理解し、計画的に活用することで、40代の転職はより納得のいくものになります。
まとめ ― 失業保険は「再スタートのための制度」
看護師の失業保険は、退職後の生活を支える大切な制度です。
この記事のポイントを振り返ると、次のとおりです。
・ 自己都合退職と会社都合退職では、受給開始時期や支給日数が異なる
・ 基本手当の金額は、年齢や離職前6か月の賃金などによって決まる
・ 退職理由や離職票の内容によって、受給条件が変わる場合がある
・ 傷病手当金との違いを理解し、自分に合った制度を利用することが大切
失業保険は、「辞めた後にもらえるお金」ではなく、次の一歩を安心して踏み出すための制度です。
退職を考えたときは、感情だけで判断するのではなく、制度を理解し、生活設計や転職計画を立てたうえで行動しましょう。
その積み重ねが、40代看護師の「損しない辞め方」につながります。


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