相談支援事業所とは?精神科訪問看護の開業を考えて初めて知った役割と仕組み

相談支援事業所と精神科訪問看護の連携をイメージした女性看護師 40代看護師の働き方・お金
精神科訪問看護の開業を考える中で知っておきたい、相談支援事業所の役割と地域連携。

精神科訪問看護ステーションを立ち上げたい。

そう考えるようになってから、開業について少しずつ調べています。

法人をどうするのか。

看護師は何人必要なのか。

指定申請はどこにするのか。

利用者さんをどうやって増やしていくのか。

調べれば調べるほど、今まで看護師として働いているだけでは知らなかった言葉がたくさん出てきます。

その中の一つが、

「相談支援事業所」

です。

精神科訪問看護の利用者さんを増やす方法を調べていると、

「病院やクリニックだけではなく、相談支援事業所との連携も大切」

という話が出てきます。

でも、ここで僕は疑問に思いました。

そもそも相談支援事業所って何をするところなんだろう?

病院でもない。

訪問看護ステーションでもない。

ケアマネジャーの事業所とも少し違う。

恥ずかしながら、僕自身、精神科訪問看護師として働いていても、相談支援事業所の仕組みをきちんと理解しているとは言えませんでした。

そこで今回は、精神科訪問看護ステーションの開業を考える中で、「相談支援事業所とは何なのか」を僕自身も勉強するつもりで整理してみます。


そもそも「相談支援事業所」とは?

簡単に言えば、障害のある方が地域で生活していくために、

「どんなサービスを利用したらいいのか」

「生活で困っていることをどうしたらいいのか」

「どこの事業所につながればいいのか」

といったことを一緒に考え、必要な支援につなげていくところです。

厚生労働省では、障害のある人が自立した日常生活や社会生活を送れるよう、市町村を中心としてさまざまな相談支援事業を実施しています。

その中には「計画相談支援」という仕組みがあります。

障害福祉サービスを利用するときに、その人がどのような生活を送りたいのか、どんな支援が必要なのかを整理して、

「サービス等利用計画」

を作成します。

これを担うのが主に、

指定特定相談支援事業所

です。

そして、そこで中心となって働いているのが、

相談支援専門員

です。

精神科訪問看護ステーションを開業した後、病院やクリニック、相談支援事業所など、どこに営業すればいいのかについては、こちらの記事でも詳しく整理しています。
▶︎ 精神科訪問看護の利用者を増やす方法|開業後はどこに営業する?病院・クリニック・相談支援事業所を整理


相談支援専門員は、介護保険でいうケアマネに少し近い

僕自身が一番イメージしやすかったのは、

「障害福祉分野のケアマネジャーに近い存在」

と考えることでした。

もちろん制度も資格も役割も同じではありません。

ただ、利用者さんの生活全体を見ながら、

「この人にはどんな支援が必要なのか」

を考え、関係するサービス事業所と連携していくという意味では似ています。

例えば、精神障害のある方が一人暮らしをしているとします。

本人は、

「仕事をしたい」

「薬をきちんと飲めるようになりたい」

「家に引きこもらず外に出たい」

「一人暮らしを続けたい」

と考えているかもしれません。

その人に必要なのは、一つのサービスだけとは限りません。

就労継続支援。

居宅介護。

グループホーム。

生活訓練。

医療機関。

そして精神科訪問看護。

いろいろな支援が関係してきます。

相談支援専門員は本人の希望や生活状況を確認しながら、必要なサービスを整理し、関係機関との調整を行います。

サービス等利用計画を作ったら終わりではなく、その後も定期的に状況を確認する「モニタリング」を行い、必要に応じて計画を見直します。


相談支援事業所には種類がある

今回調べてみて僕が最初に混乱したのがここです。

単純に全部が「相談支援事業所」という一種類の施設ではありません。

代表的なものとして、

指定特定相談支援事業所

があります。

主に障害福祉サービスを利用する人の「計画相談支援」を担当し、サービス等利用計画の作成やモニタリングなどを行います。

ほかにも、

指定一般相談支援事業所

があります。

こちらは「地域移行支援」「地域定着支援」などを担います。

例えば、精神科病院などから地域生活へ移行する人を支援する場合などに関係してきます。

さらに地域には、

基幹相談支援センター

というものもあります。

基幹相談支援センターは、個々の利用者さんへの相談だけではなく、地域全体の相談支援体制を強化したり、相談支援事業所への助言や人材育成などを行ったりする役割があります。

僕自身も今回調べるまで、

「相談支援事業所って全部同じじゃないんだ」

ということをよく分かっていませんでした。


実際にはどんな名前で存在しているの?

これも僕が疑問だったところです。

街の中に、

「指定特定相談支援事業所」

という大きな看板だけが出ているとは限りません。

実際には法人や事業所ごとに名前があり、

「〇〇相談支援事業所」

「相談支援センター〇〇」

「相談支援事業所〇〇」

など、さまざまな名称で運営されています。

その事業所が自治体から指定を受けて「指定特定相談支援事業」を行っている、というイメージです。

つまり精神科訪問看護ステーションを開業して営業先を探す場合も、

地域にどんな相談支援事業所があり、その事業所がどのような相談支援を行っているのかを確認する必要がある

ということになります。


では、精神科訪問看護とどう関係するのか?

ここが僕にとって一番重要なところです。

精神科訪問看護ステーションを立ち上げても、最初は利用者さんがいません。

病院や精神科クリニックから紹介してもらう方法もあります。

一方で、地域で障害のある方の生活を支えている相談支援専門員も、多くの利用者さんや福祉サービス事業所と関わっています。

例えば相談支援専門員が利用者さんと関わっている中で、

「最近、服薬がうまくできていない」

「精神状態が不安定になってきた」

「一人暮らしを続けるために医療的な支援も必要かもしれない」

「定期的に自宅で状態を見てもらった方がいいのではないか」

といった課題が出てくる可能性があります。

そのとき、

「この地域に精神科に対応できる訪問看護ステーションがある」

と知ってもらえていることは、とても重要だと思います。

もちろん相談支援事業所が自由に精神科訪問看護を開始できるわけではありません。

訪問看護は医療サービスなので、実際に利用するには医師の訪問看護指示書など必要な手続きがあります。

ただ、本人・家族・医療機関・福祉サービスなどをつなぐ地域連携の中で、相談支援専門員は重要な存在です。


相談支援専門員と訪問看護師は見るところが少し違う

これも面白いところだと思います。

訪問看護師は、

精神症状。

服薬状況。

睡眠。

食事。

身体状態。

受診状況。

生活リズム。

再発の兆候。

など、医療・看護の視点から利用者さんを見ます。

一方、相談支援専門員はもっと生活全体を見ます。

どこで暮らすのか。

仕事はどうするのか。

どんな福祉サービスを使うのか。

家族との関係はどうなのか。

本人はこれからどんな生活を送りたいのか。

そして、そのためにどの支援機関とつながる必要があるのか。

つまり、

訪問看護が「医療・看護」から生活を支え、相談支援が「福祉・生活全体」から支える。

両者が情報共有することで、一人の利用者さんを違った角度から支えることができます。

精神科では特に、この連携は大切なのではないかと僕は感じています。


開業したら相談支援事業所にも挨拶に行く意味が分かってきた

以前、精神科訪問看護ステーションを開業したら、

「病院、精神科クリニック、相談支援事業所などに挨拶する」

という話を調べました。

正直、そのときの僕は、

「なぜ相談支援事業所に挨拶するんだろう?」

という部分まで完全には理解できていませんでした。

今回改めて調べてみると、少しずつ意味が分かってきました。

相談支援専門員は、地域で生活している障害のある方とさまざまな福祉サービスをつなぐ存在です。

だからこそ、精神科訪問看護ステーションを開業したときには、

「精神科に対応しています」

「この地域まで訪問できます」

「こういう利用者さんに対応できます」

ということを知ってもらう意味があります。

いきなり、

「利用者さんを紹介してください」

と営業するのではなく、

まず地域の支援者として自分たちのステーションを知ってもらう。

そのくらいの考え方のほうが自然なのかもしれません。


開業を考えたことで、今まで知らなかった地域の仕組みが見えてきた

僕はこれまで看護師として働いてきました。

現在は精神科訪問看護に携わっています。

それでも、相談支援事業所についてここまで詳しく調べたことはありませんでした。

自分で精神科訪問看護ステーションを立ち上げたいと思ったことで、

病院。

クリニック。

訪問看護。

相談支援事業所。

障害福祉サービス。

行政。

それぞれが地域の中でどうつながっているのかを考えるようになりました。

開業するということは、単に会社を作って訪問看護を始めればいいわけではないんだと思います。

地域の中にある医療・福祉のネットワークの一つになる。

そのためには、まず僕自身が地域にどんな機関があり、それぞれ何をしているのかを知る必要があります。

相談支援事業所について調べたことも、その第一歩です。

まだ僕自身、精神科訪問看護ステーションの開業に向けて勉強している途中です。

だからこそ、このブログでは「すでに開業した経営者が教える」という形ではなく、

一人の精神科訪問看護師が、実際に開業を目指しながら調べ、学んだことを記録していきたいと思っています。

これから精神科訪問看護を始めたい看護師や、将来自分の訪問看護ステーションを持ちたいと思っている人にとって、この記録が少しでも参考になればうれしいです。

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