── メンタルケアの訪問だからこそ見える現実と、揺るがない思い**
訪問看護の仕事には、
キレイごとでは済まない現実がたくさんあります。
メンタル系の利用者さんは特に、
「この人じゃないと嫌だ」
「男性は無理」
「今日は会いたくない」
そんな理由で担当変更になることも珍しくありません。
移動は常に時間との戦い。
30分〜1時間半という決められた枠の中で訪問し、
また次の利用者さんの元へ急ぐ。
雨の日も、真夏も、真冬も、
車に乗っては降りて、また乗って。
精神的にも体力的にも削られる瞬間があります。
それでも私は、この仕事を続けています。
理由はたったひとつ。
「その人が望む生き方に、少しでも寄り添いたい」から。
今日は、メンタル訪問看護の“リアル”と、
その中で私が見つけた“寄り添う看護の本質”をお話しします。
担当が変わる現実と、そこに潜む心の壁
メンタル系の訪問看護は、
利用者さん自身の “心の状態” が担当者の選択にも大きく影響します。
「男性は怖い」
「この人とは相性が合わない」
「今日は話したくない」
理由はさまざまですが、
突然 “担当変更” を伝えられることもあります。
頭では理解していても、
胸の奥が少しズキッとすることも正直あります。
でも、そんなとき私はこう思います。
「この気持ちも、利用者さんの症状の一部なんだ。」
拒否されたのではなく、
その人なりの“安全の形”なんだと捉えるようになりました。
そして訪問看護師は、
「自分が行ける利用者に、最大限の心を尽くす」
それだけでいいのだと気づきました。
移動に追われる日々──時間と距離との戦い
訪問看護は、移動が仕事の大部分を占めると言ってもいいかもしれません。
1件30分の訪問でも、
移動が片道20分なら実質ほぼ“移動の仕事”。
1時間半のロング訪問の後、
急いで次の利用者さんの家へ向かう日もある。
渋滞、天候、距離。
どれも訪問スケジュールに大きく影響します。
身体はもちろん、心にも負担がかかります。
けれど、利用者さんの玄関先で
「今日もありがとうございます」と言われるだけで、
移動で疲れた心が、少し軽くなるのです。
看護の中心にあるのは、“利用者の意志”
訪問看護の基本は、
「利用者さん本人がどうしたいか」
これに尽きます。
医療者目線で「こうした方が良い」と思っても、
利用者さんの心に寄り添えていなければ意味がない。
だから私は、毎回の訪問でまずこう尋ねます。
「今日は、どんなふうに過ごしたいですか？」
生き方は人それぞれ。
その人の“望む形”に合わせてケアをする。
それが、訪問看護の一番の魅力であり、難しさでもあります。
しんどさの中にある、小さな光
訪問看護は決して綺麗な仕事ではありません。
感情を揺さぶられ、
時にため息が出るほどしんどい日もあります。
でも必ず、救われる瞬間があります。
「あなたが来てくれると安心する。」
「今日話せてよかった。」
その一言だけで、
怒涛の移動も、拒否された悔しさも、
全部報われる気がします。
看護師が利用者を助けているように見えて、
実は利用者さんが看護師を支えてくれている。
メンタル訪問は、そんな仕事です。
まとめ｜寄り添うとは、“生き方に伴走すること”
訪問看護は、
病気だけを見る仕事ではありません。
その人の人生、価値観、痛み、希望に寄り添う仕事です。
担当が変わることもある。
移動で心が折れそうな日もある。
理想通りにいかないことの方が多い。
それでも私は、この仕事を選び続けています。
なぜなら──
“一人の人生に伴走できる” という特別な役割があるから。
あなたの看護は、必ず誰かの支えになっています。
今日も、明日も。
今日の一言アファメーション
「私は、誰かの人生にそっと寄り添える力を持っている。」
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